A 「ルーラー、ちょっとその人にききたいことがあるんだけど……」
B 「ねぇルーラー、“降魔刀”買いたいんだけど……」
C 「あ、俺、**さんの護衛につきたいんだけど……」
ルーラー「あ〜っ! そんなにいっぺんに言わないでくれ〜!」
目に浮ぶようです。慌てふためくマスターの姿。筆者も何度と無くその場面を目にしてきたし、経験もしました。
プレイヤーのみなさんって、マスターは聖徳太子の弟子か何かかと思っている節があるんですよね。コンベンションでマスターできる人間なら、なぁ〜んて。そんなわきゃあるはずないのに……
いったいどれから対応していいのか、いや、そもそも彼らは自分になにを要求しているのだ? と思いたくなってくる状況てすね。
せっかく上手くいっていたマスタリングも、これをきっかけとしてそごをきたし、なし崩しに失敗してしまった、というマスターを見た事もあります。フォローするひまなしって感じで……
いや、これ、嘘のような本当の話です。コンベを、五十回以上経験すると、そんなマスターに出会う事もあるのです。これを読んでいる方も、経験はありませんか?
えてして、こんな状態になりやすいのはコンベンションマスター初心者だったりとか、自分に自信がない人だったりするんですよね。
こんなとき、みなさんならどうします?
回数こなすと自然と身についてくるものなのですが、幾つかの対処方法を書いておきましょう。参考になれば幸いです。
対処法1・まず自分が落ちつくこんな反応されたときは、とにかく落ちつきましょう。それがなによりです。落ちつきゃひとまずなんとかなります。
落ちつけない? ん〜、それなら……
対処法2・プレイヤーのみんなに、一先ず口をつぐんでもらう
お願いだから、静かにしてくださいね、とプレイヤーのみんなに口をつぐんでもらいましょう。つぐんでもらうって言っても、別にバラすとか、そんな剣呑な発想をしなくてもいいですよ。
とにかく静かにしてもらえば、落ちつきやすくなります。自分に対しての情報の集中は、思考力を奪いますからね。落ち着く事が大事です。
対処法3・時計回りに何をしたいのか、順に聞いていく。
そうして静かになって、自分の声が通るようになったら、時計回りになにがしたいのかを尋ね、対応していきましょう。
ほら、こんな簡単な事で対応できるものなんですよ。
対処方4・長くかかりそうなら後回し
プレイヤーは一人じゃないです。だから、長くかかりそうなプレイヤーは、ちょっと待ってもらいましょう。簡単に済む人から済ませてしまうのです。
ただ、その時は長くかかる人に対して、ちょっと待っててね、と言っておきましょう。これ、重要です。
A 「それで、その人はなんていってるの?」ルーラー「うん、『そんな事は知らない、知りたいなら御堂の野郎にでも訊くんだな』って言った次の瞬間……」
B 「ルーラー、ちょっと舞台裏判定したいんだけど……」
C 「ルーラー、そしたら俺、御堂のコネで……」
ルーラー「え? なに? ちょっと……」
プレイヤーってのは、本当に我侭なもんです。こっちの都合なんざ考えやしない。まあ、考えるプレイヤーもいますけど……
こうして、プレイが中断され、次に起こることを説明できなかったりするのです。よくありますね、こんなこと。
こんなときの、俺の対処法はというと……
対処法5・マスターが面倒見なくてもいいものなら、隣の暇そうなプレイヤーに任せちゃう使えるものはなんでも使え、ですね。
キャラクターに買い物させたいための発言なら、そんなの勝手にやってて、って感じですが、それだとひどいのでこんなことしちゃいます。
暇そうなプレイヤーも、暇じゃなくさせる事ができて一石二鳥♪
上手いプレイヤーなら、その程度の事なら、などとマスターのかわりにやってくれるときもありますね。
そんな人がもしいたら、おだてて徹底的に手伝ってもらいましょう☆ そういう人は、手伝うのを喜びとしている場合がありますから(特にTNRの場合、結構多そうですよね)。
対処法6・待っててもらう
マスターは、体二つあるわけじゃないです。であるからして、待ってもらいます。
「ごめんね、ちょっと待ってて」
こう言えば、大抵は納得して待っていてくれます。ただ、その後は必ず待っててもらった人に対して、きちんとしたフォロー、いれておいてくださいよ。
とまぁ、こんなところでしょうか。待っててもらううちに、なぜか、待ってた人の問題が解決する場合もありますし。
ただ、こうしてちゃんと、一人一人のアクションに対して、しっかりとリアクションを行えば、おのずとプレイヤーのマスターに対する評判はよくなっていきます。
まぁ、なにより落ちつくのが最優先なのですが……
今回は、小手先のようだけど、実は重要だと思われるマスタリングテクニックについて説明しました。それでは、くぅがぁさんとのメールでのやとりから……
プレイヤーの同時発言や割りこみ発言の対処方法
ぽんず「去年、一度ですが、コンベンションマスターをしたところ、大好評の内に幕を閉じる事ができました。
俺にしてみればいまいちかな、というできだったのですが、今のマスターにはない、プレイヤーへの気配りが感じられ、自分の行動が、常にリアクションされてかえってくるのに、おどろきを感じたのだそうな。
おいおい、そりゃ当たり前のことだぞ。と、その時は思ったものですが……」
くぅがぁ「当たり前かもしれませんが、全てのプレイヤー公平にやろうとすると、なかなかできることではありませんね(自分のマスタリングには「気配り」が足りない。まだまだ未熟だ・・・)」
ぽんず「人間完璧ではありません。パーフェクトにやろうとするからダメなのです。どうすりゃいいの? というと、俺の場合は、こうです。
一人のプレイヤーに対してリアクションしている最中、ほかのプレイヤーが発言したとしますよね。
そうしたら、後から声をかけてきたプレイヤーには、少し待っててねと謝罪をいれておいて、今やっているプレイヤーに対するリアクションのけりを、ひとまずつけてしまうわけです。その後、待たせておいたプレイヤーに対してのリアクションをしてやればいいわけです。プレイヤーは、ほかのプレイヤーに対してリアクションしている最中のマスターに、すぐにリアクションをやれと思っているわけはないのです。
ちょっと待っててね、とリアクションする事を約束してやれば、プレイヤーは満足してくれるわけですね」
今回とりあげたのは、マスタリングテクニックの基本(と俺が思っているもの)で、より楽にマスタングするための方法論なわけですが、結果的にはプレイヤーを満足させるためのテクニックでもあるわけです。
プレイヤーのアクションに対して、どれだけ細かく対応できるかを考えた結果の技術が、「ちょっと待っててね」と、その後のフォローなのです。
人間、パーフェクトにやろうとするとしくじります。間違いなくミスします。ミスにならないようなミスでも、ミスだと思いこんでしまいます。
それなら、ある程度のミスを、ミスで無くさせる方法、あるいは予測されるミスの要因を、ミスとなる前に摘み取ってしまう方法を考えるのです。
アドリブ技術の基本でもありますが、こうしたとき、はっきりと言えることが一つあります。
落ちつく。
これに限ります。細かなミスは、ここに集約されています。
第一回の、「下準備」も、落ちつく余裕を作るための作業の一つなのです。
事前にこれだけの事をしてきたんだから、きっとなんとかなるだろう、という自信を持つための作業でもあるわけです。
とにかく、落ちつきましょう。まずはそこからです。