第3回 情報の与え方

 

 TNRは、情報を入手するための技能が用意されています(トーキョーN◎VA以外の国産TRPGでは、ほとんどありませんでしたね。不思議な事に)。

 〈社会〉、〈動員〉、〈コネ〉、の三つです(〈交渉〉も含まれますが、あえて除外します)。

 ここで、自分なりのこれらの技能による情報の質の違いについて書いてみようと思います。

 あくまで、これらの区分は筆者の個人的な見解であるので、その事を憶えておいてください。まぁ、おおよそにおいて間違いはないと思いますが。

 

〈社会〉
 これは、その社会についての知識(見聞したこと)を思い出す、あるいはエキストラに聞き込みする、という感覚でしょう。つまり、憶えている情報なら詳しくわかるかもしれませんが、エキストラに聞き込みするような情報の入手方法なら、浅い情報しか手に入れられない、と思うのです。

 エキストラが、御堂真黄が与えるような情報と同等の情報を持っているって、なんか不思議な感じしません?

 まぁ、考え方次第ですけどね。エキストラからの情報入手は、一人に聞くのではなく、何人ものエキストラに聞くのだ、という考えもできますよね。

 でも、戦闘では、キャストがビンタくれれば、エキストラは死んでしまいます(極論ですが、ルール的にはこの通りです)し、ちょっと悪い噂を流しただけで社会的に抹殺されます。一言の悪口で発狂。

 エキストラがキャストにダメージを与えるのだって、困難に違いないでしょう。

 これは、情報所持に関しても同様であると思うのです。ただ、社会を相手にして情報を検索するので、かなり広い情報を入手できるのではないでしょうか。

 

〈動員〉
 単純にこの技能だけで情報入手をしたら、エキストラに訊く〈社会〉よりもちょっとはましな情報を入手できるのでは、と思います。

 トループを駆けずりまわさせて、情報入手をさせる、というものでもあるでしょうし、トループが知っている情報を訊く、というものである場合もあるでしょう。

 いずれにせよ〈社会〉で説明した、戦闘における強さをそのまま移行したら、トループならそれなりの情報を入手できるのではないか、と思います。

 〈社会〉と組み合わせたら、よりその傾向は強くなるのではないでしょうか(有用な情報を、トループがあらかじめ抜き出しておいてくれたのですね。情報収集は、才能も必要ですが、ことマンパワーは確かな力を持ちますから)。

 

〈コネ〉
 これがより深く情報を入手できるのではないかと思います。

 しかし、社会を相手にしているわけではないので、検索する情報に対して、広い情報を入手できるわけではないと思います(例外:情報屋を除く)。

「あ、**のことなら知ってるよ、**は……」

 という感じでしょうか。当然、尋ねた本人が知らなければ、知らない、といわれます。手に入れた情報をより深く吟味する。それが〈コネ〉ではないかと考えています。

 

総括
 あくまで俺の感覚ですが、〈社会〉で広い情報を検索、次に〈コネ〉でその情報を吟味する、という感じではないでしょうか。

 インターネットで例えるなら、グーなど検索エンジンの分野から探りを入れていくのが〈社会〉、キーワード検索が〈動員〉、友人に尋ねるのが〈コネ〉なのではないかと思うのです。

 もっとも、そこまで詳しくやっていたら、リサーチフェイズにべらぼうな時間と手間を書けてしまうので、ここまで詳しく行う必要はないと思いますが。仲間内でやるならいいのですが、コンベンションでは……と思います。ですが、多少考慮に入れておくべきではないでしょうか。


   「じゃあ俺は、**について、〈社会:企業〉で情報を調べたいんだけど」

B   「俺は、〈動員:傀儡〉で**について調べるよ」

   「**のこと、〈コネ:篁綾〉で、調べられないかな」

ルーラー「ちょっと待ってて……」

 こんなとき、通り一遍の情報を渡したんじゃ、つまらないですよね。そこで、上記の情報の質の違いを表現する事が必要になるのではないでしょうか。

 〈社会:企業〉のAさんのキャストには、**に関する基礎的な知識の情報をわたします。

 〈動員:傀儡〉のBさんのキャストには、**に関する情報の箇条書きを。

 〈コネ:篁綾〉のCさんのキャストには、篁綾が知っているかどうか考慮し、知っていると判断した場合は、篁綾が、キャストに伝えてもいいと判断した情報のみをわたすことでしょう。

 ここで、AさんのキャストがBさんのキャストに、手に入れた情報を教えて、その上で〈動員:傀儡〉を使ったら、ただ〈動員:傀儡〉を使っただけでは入手できない、新たな情報が出てくる可能性があるはずです。

 同様に、BさんのキャストがCさんのキャストに手にいれた情報を教え、その上で〈コネ:篁綾〉を使ったら、篁綾は『そこまで知っているのなら部外者ではない』と判断して、より詳しい情報を渡すかも知れません。

 加えて、どんな情報をどうやって入手するか、その方法を詳しく説明すれば、目標値が上下したり、修正値が加わります。これはルールブック(P137)にも書かれていますね。

 次第によっては(報酬点をつぎこむ等)、情報の詳しさに差が出るかもしれません。

 的を得たロールプレイや、うまい! と思える混じりだったら、「お、いい演出だな」と思い、判断して、報酬点をつぎこんだのと同等の情報を渡すのもいいでしょう(ロールプレイをやった事に対しての、ご褒美と考えてもらえればいいと思います)。

 当然、間違った情報捜査の方法をとった場合、つまり、**が企業の情報だとして、Aさんが**(この場合、**は企業関係のものだとします)について〈社会:アストラル〉をつかったとしても、情報の入手はできないはずです。

 キー効果や神業をつかっても、**の情報が無いところからは、**の情報を入手する事なんてできません。エキストラに、N◎VA軍進駐のわけを、《真実》を使って尋ねてもわからないでしょうし、篁綾に、ショウビス界の情報を尋ねても、「しらない」と言うに決っています。


 まぁ、今回は、コンベンションに関わらず、仲間内でのプレイでも応用がきくことを取り上げました。

 これは、ベテランルーラーであればあるほど、できて当然の事であると思いますが、初心者ルーラーにとっては、なかなか気付かない点であると思います。

 というところで今回も……

 

情報の調べ方

 

くぅがぁ「先週のコンベンションの時、気が付いたのですが、NOVA-Rでは一般技能から「情報」がなくなってるんですね(NOVA-2ndとの比較)。

 そのとき「フェイト」のキャラクターでプレイしたんですが、情報収集ってほとんどコネから集めるものなんですか?

 コネ関係と交渉関係の特殊技能を高いレベルで揃えれば最強のフェイトが誕生してしまう?(フェイトのスタイルがなくとも)フェイトの特殊技能は調査対象に接触するまで使いにくいものが多いし」

ぽんず「コネよりも、社会ですね。情報収集は。社会で得た情報をより深く吟味するために、コネを使う、というところでしょうか」

 

 与える情報の差別化は、簡単な事ではありません(そんなにRL経験があるわけではないので、俺も厳しい。GM経験はあるけどね)。もちろん、自然に準備してやれば別ですが……

 しかし、技能が違うということは、情報の捜索方法もまったくことなり、そうなると出てくる情報にも違いが出てくる可能性があります。

 社会戦がある以上、TNRには、〈コネ〉や〈社会〉、〈動員〉をとるだけ無駄だ、ということはほぼありえないのですが(でも、〈社会:アストラル〉は、TNRでは役立たずだと思う。2ndではどうか知らないけど)より、とっててよかった、と思わせるためには、こんなテクニックも必要ではないでしょうか。

 ちょっと難しいテクニックかもしれませんが、コンベンションでこうした事を行えば、「お、このルーラー、ちょっと違うな」、なぁんて思わせる事ができるようになると思います。

 そして、こうしたテクニックを使っていけば、自然とマスタリングのテクニックも上昇し、よりプレイヤーに楽しんでもらえるようにもなります。

 今回の事が参考になれば幸いです。