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「北へ。」妄想アンケートへの投稿
とみたう 1999年12月30日(木) 03時54分15秒

超超超長文です。ごめんなさい。


実はスキーって、やったことないのですが…。

それは一瞬の出来事だった。何がどうなったのかわからない。
倒れこんだときに、雪とは違うやわらかなものが
自分の身体の下にあったことだけは、なぜか覚えている。
思わずつぶってしまった目を開くとゴーグル越しに、
スキー板の鋭いエッジが見えた。
「顔の位置が少し違っていたら、大怪我になるところだったな…」
ぼんやりと一息ついていると、葉野香の罵声が耳に飛びこんできた。
「早くどけよ、このバカ!」
「…(え?)」
とみたうろは混乱した。自分がどういう態勢でいるのか、全く
把握しようとしていなかったのだ。そこに2度目の罵声が浴びせられる。
「重いんだよ! いい加減にしろよ!!」
その声と同時に葉野香の拳が頭を強打する。
「あ、あぁ…。ごめん」
殴られた痛みでようやく自分が葉野香を押しつぶしていることに
気づいた。ストックを手から放し雪面に手をついて、ゆっくりと
上体を起こすと、葉野香から身体を離して座り込み葉野香に手を
差し伸べる。
「ったく、ヘタクソなくせに調子に乗り過ぎなんだよ、とみ兄は!!」
とみたうろに手を引かれて起きあがると葉野香がまた怒鳴った。
「ごめん…」
いつもなら、たちどころに悪口雑言の応酬になっているところなのだが、
いま、とみたうろの口から発せられた言葉はいつになく素直なものだった。
「なんだよ、今日はやけに素直じゃないか…」
葉野香も拍子抜けしたのか、語気を弱める。
二人の間にしばし沈黙が訪れた。
先刻から舞い始めた粉雪は、いつのまにか本降りになってきている。
風も強まっているようだ。遠くにある照明灯が、ときおり見えなくなるほどだ。
周囲には二人のほかに人影は見あたらない。
「あ、まずいな…。もう、戻ったほうがいいかも」
あたりを見まわして葉野香は即座に判断を下し、ストックを手に取って
立ちあがった。
「ほら、とみ兄も早く立って…」
今度は葉野香がとみたうろに手を差し伸べる。
「ああ、大丈夫。自分で立てるから…。」
そう言って、とみたうろは近くに転がっていたストックを拾い、
ゆっくりと立ちあがった。
「あれ? とみ兄、板は?」
葉野香の言葉に、とみたうろは、ふと自分の足元に目をやった。
両足ともに、板は外れている。一本は目の前に転がっていたが、
もう一本が見あたらない。少なくとも、照明が照らし出している
範囲にはなさそうだった。
「かたっぽ、ない……」
とみたうろは、まるで他人事のような調子で答えた。
「ないって、おい、どうすんだよ! 探さなきゃ!」
そう言うと葉野香は再びあたりを見まわした。しかしわかったことと
いえば、二人がかなり危険な状況下に置かれているらしいことだった。
先ほどまで見えていた、少し離れたところにある照明灯の明かりが、
いまではもう、降りしきる雪にさえぎられてほとんど見えない。
「こりゃぁ、板を探すどころじゃなくなってきたな…。とみ兄、片足で滑れる?」
風にあおられて顔にまとわりつく長くしなやかな黒髪を、しきりに
手でかき上げながら葉野香が言った。
「え? あぁ、やってみる」
そう言うと、とみたうろは一本残っているスキー板に右足を乗せてロックした。
「じゃあ、ちょっと滑ってみて」
葉野香の言葉に促され、そろりと滑り出してみたとみたうろだったが、
1メートルと進まないうちに、バランスを崩して転んでしまった。
「あ〜、やっぱだめか…」
ため息混じりに葉野香が言う。
とみたうろはなにも言わず、再び立ちあがろうとした。が、上体を
起こして立ちあがりかけた途端、両手で頭を抱えて雪面に倒れこんだ。
「とみ兄!」
葉野香はストックを放り投げ、手早くスキー板を外すと、とみたうろの
ところへ駆け寄った。
「どうしたの?! とみ兄!!」
とみたうろの両肩に手をかけて身体を起こす。
「ごめん、ちょっと立ちくらみ…みたい。目がよく見えない」
そう言いながらとみたうろは葉野香のほうへ顔を向けたのだが、
彼の目に葉野香の姿は映っていなかった。
「とみ兄! とみ兄!! しっかりしてよ!」
とみたうろの異常を察したのか、葉野香はさらに声をはりあげながら、
両手でとみたうろの体を激しくゆすった。
「あ…まり、ゆら…すな……」
遠のいていく意識の中で、とみたうろは弱々しく言葉を発した。
とみたうろに呼びかける葉野香の声は、ほとんど絶叫と化していたが、
激しく吹きつける風雪の中では空しいだけだった。

つづく ?!



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